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ヨット小説「風の靴」。もう読みましたか?

2010年2月19日 金曜日

  12歳の少年が親友とその妹、そして愛犬を伴って夏休みに家出を敢行。その移動手段となったのが木製のA級ディンギーであり、目的地に着いてからはセーリングクルーザーで黒潮を目指す、というセーラーなら誰でも読みたくなるような小説「風の靴」が2009年に刊行されました。

 出版からすでに1年ほど経っているのですが、遅ればせながら、つい最近その本を読みました。

 「風の靴」の意は、表紙カバーの見返しに書かれているので種明かしをしても許されるでしょうから書いてしまいますが、亡くなったおじいちゃんがセーリングする姿を見て、主人公が「おじいちゃんが風に靴を履かせる」と形容したことに由来します。そのおじいちゃんはとても魅力的なオールドソルト。「自分のからだが透明になって、船とひとつになって、駆けていくんだ。」とセーリングを表現するような人です。
 

「風の靴」。講談社刊・朽木祥著・本体定価1600円

 おじいさんの指示に従って探す秘密の入り江、そこに埋められている秘密の箱、セーリングの途中で救助した謎の男などなど、海の物語に必要な要素がふんだんに盛り込まれている小説です。

   児童文学の体裁をとっていますが、筆者自身がセーラーなので、セーリングに関する表記は本格的です。そして、表紙の装画は柏村勲さん。JSAF海の絵画コンテストで審査をお願いしたセーリングをこよなく愛する画伯のきらめくような海の1シーンが同書を飾ります。

 JSAFメンバーの皆さん、是非、ご一読を。