「Q-ton World 1978 記念カップ」が完成

カップの門出にふさわしい強風の洗礼を受けたお披露目式

 

「Q-ton World 1978」と言ってもわかる人は少ないでしょう。

「Q-ton」とは「クォータートン」のこと。それでは「クォータートン」っていうのは何? となりますが、これは外洋ヨットのクラスのひとつ。IOR(インターナショナル・オフショア・ルール)という外洋レース艇を規定するルールがあり、そのIORで定められたクラスのひとつが「Q-ton」で、これに属するヨットの全長はおよそ24~26フィート。ほかにも「1/2ton」(ハーフトン)、「3/4ton」(スリークォータートン)、「1ton」(ワントン)というクラスもあり、JSAFの特別加盟団体である日本ミニトン協会は「クォータートン」の下のサイズの「ミニトン」ということなのです。

前置きが長くなりましたが、その「Q-ton」の世界選手権が1978年に日本で開催されました。「すばらしい大会を開催しよう」、「地元大会で優勝しよう」、「俺の船が一番速いと証明しよう」とばかりに日本のヨット界は燃えに燃え、老いも若きも外洋セーラーたちはこのレースに命をかけんばかりに熱中したのでした。

今回、当時の勇者たちの熱い気持と誇りを後世に長く伝えるとともに、「外洋レースの活性化を図っていこう」との趣旨で、当時のレース実行委員会有志によって記念カップが制作され、そのお披露目が4月2日、神奈川県葉山町で行われました。

お披露目に際し、カップの趣旨とその運用に関する下記の一文が戸叶幹男さんから寄せられました。(Web J-SAILING編集部)

 

外洋レースの勇者に贈る

 

「Q-ton World 1978」は外洋ヨットの世界選手権として国内で開催された唯一の大会であり、30ノットの吹き荒れる相模湾と伊豆諸島を舞台に多くの伝説を残す大会だった。その「Q-ton World 1978」の存在をひとつのカップに残すことになった。

今では語り草となった昼夜徹しての240マイルの激走は、新たな針路を外洋ヨットの復活を目指すことへの出帆となった。外洋ヨットの発展は当時運営委員長を務めた故石原裕次郎さんの遺志であり、関係者の思いでもあった。

去る4月2日、葉山町森戸神社で裕次郎さんの石碑に完成の報告をした後、祝詞奏上を受け、滞りなく入魂式は終了した。当日はあいにくの強風で大荒れとなったが、まさにカップの門出にふさわしい記憶に残るお披露目式となった。

一昨年、葉山新港での同大会30周年記念「祭」が開催されたが、その時の実行委員長であった山崎達光氏、副委員長の松田菊雄氏他らの有志によって、その折の余剰金の活用を形あるものとして、大相撲の優勝カップに負けずとも劣らない大きさの「Q-ton Cup1978記念カップ」を制作した。高さ1mと25cm四方の台座には予選から本戦までの参加各艇の名前が刻印されている。サブタイトルとして”The prize for Brave Sailor of the year.”の文字が刻まれ、果敢に外洋レースに挑み、優秀な成績を収めた選手あるいは艇(チーム)にこのカップは贈呈(持ち回り)されることになる。

Q-ton Cup1978贈呈委員会の定める規定のもと、今年度よりカップの贈呈が始まる。(戸叶幹男/記念カップ製作実行委員会)

 

カップには石原裕次郎大会運営委員長の言葉が刻まれる

コメントは受け付けていません。